ユニバーサル・デザイン/バリアフリー

国立新美術館(トイレ考)


 行くたびに気になって覗いてしまう、国立新美術館のコーンの中の多機能トイレ。

 お断りしておくと、今現在の私は、多機能トイレのニーズがあるわけではない。いわゆる「女子トイレ」でOKだ。でも、将来歳を取ったときにお世話になることもあるでしょう。車いすの知り合いが苦労しているのも見ている。
 まだ元気なオバアサンが、「トイレが使いにくいところには、行けないのよね」という。乳児連れのおかあさんたちの話も聞いた。別にネホリハホリ、こちらから聞き出すわけじゃないけれど、何かの拍子に話題にのぼる。
 遊びたいから、外出したいから、その施設のトイレも気になる。たぶん共感してくれる女性は多いんじゃないだろうか? その延長上に、多機能トイレがあるだけだ。

 さて、コーンの中の多機能トイレ。
 洗面台の下にゴミ箱が置いてあって、それじゃあ車いすの人が手を洗うときに不便だろうという話だった。
国立新美術館(続)
日展100年

じゃあ、これはどう?071012_14040002

 ベビーシートの向かいが入口だが、車いすは便器にむかって斜めに動くだろうから、ここなら車いすの移動にも邪魔にならない。
 洗面台の側に手ふきのペーパーが備えてあるわけではないから、洗面台の側にゴミ箱を置く必要は、あまりない。むしろ、ベビーシートの側のほうがおむつ替えに便利でしょう。ベビーシートを開くのにも、邪魔にならない位置だ。すごーく素直に考えた。これならいいかも。 

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日展100年

 国立新美術館で行われている『日展100年』(9月3日まで)。文展(1907年=明治40年~1918年=大正7年)、帝展(1919年=大正8年~1934年=昭和9年)、新文展(1936年=昭和11年~1944年=昭和19年)を経て、日展(1946年=昭和21年~)。 ”我が国最大の公募展”と言われても、日展はいままであんまり興味がなかったのだが、会場には名だたる作家の名だたる作品がずらっと並んでいて、さすがに「100年」の歴史は重みを感じる。 


 それでも、最初は「フムフム」ぐらいの気分で観ていたのだが、和田三造『南風』を観たとたん、嬉しくなった。これ、竹橋の近代美術館で観た。それもはじめて観たのは中学2年の夏休み…。当時のことを思い出すと懐かしい。そうか、文展第一回のグランプリなのか。
 海原を行く漁船だろうか。南風を受け、船の中央に立つ厚い胸板の男が魅力的だが、よく観るとその後ろの白シャツの男の顔もキリッとしていてなかなか男前。この絵全体から伝わって来る、明るさ、力強さが好きだ。

 鏑木清方『三遊亭円朝像』は重要文化財。高座にあがっているときなんだろうか。湯飲みに見えるのは手ぬぐい?中村研一の『弟妹つどう』(1930年)はかなりの大作。研一のアトリエに弟妹が集まり、レコードを聴きながら、ダンスに興じている。弟の中村琢二の作品『赤いブラウス』(1955年)も今回展示されていた。 

 さて、粋な作品を二つほど。

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山崎覚太郎『漆器 空 小屏風』(1950年)
いまじゃ邪魔者扱いされている電信柱も、”絵になる”。


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なんてユーモラスなんでしょう!池田遙邨『稻掛け』(1981年)

日本画、洋画、書、彫刻、工芸と幅広く、東京(国立新美術館)の展示は約170点(その後、 宮城、 広島、 富山に巡回)。『南風』に再会し、『漆器 空 小屏風』と『稻掛け』に出逢えて、とても幸せ。


とろころで、粋な作品の後で恐縮だけれど、トイレの話を。
以前、国立新美術館のコーンの中のトイレの話を書いた。洗面台の下にゴミ箱が置いてあった多機能トイレを、今回覗いてみたら、今度はこうなっていました。

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 洗面台の下にあったゴミ箱をだれがずらしたのか知りませんが、たしかに洗面台の下はあいたけれど、この位置も車いすが洗面台に動くときの邪魔になるかも。便器とベビーシートの位置が違ったら(便器の向き?)、でっかいゴミ箱も邪魔にならずに置けたのにね。たぶん、設計段階でゴミ箱の置き場所を考えなかったんでしょう。せめてスリムなゴミ箱にするとか…。

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金比羅宮書院の美 応挙・若冲・岸岱

 東京藝術大学大学美術館で行われている『金比羅宮書院の美 応挙・若冲・岸岱』を観た(9月9日まで)。
展示には直接関係ないが、

 この夏は、
 上野の山へ
 シュラシュシュシュ。

というコピーが優秀。「金比羅船々」、歌っちゃうよ。

 金毘羅船々
 追い手に 帆かけて
 シュラシュシュシュ
 回れば 四国は
 讃州 那珂の郡
 象頭山 金毘羅大権現
 いちど まわれば

 でも、なんで知っているんだろう。たしか、音楽の教科書にも載っていたような…。
友だちは、「学校で輪唱した」と言っている。そういえば、先日観た『舞妓Haaaan!!!』でも、祇園のお座敷遊びで歌われていたっけ。

 今回の展覧会は、--表書院と奥書院を飾る襖絵130面を移動し、両書院の壮麗な絵画空間を可能な限り展示室に再現します。--ということで、床の間や壁で移動できない絵は見事な複製が造られていたり(なんでもCanonの技術なのだそうだ)、他にも畳敷を連想させる工夫もあったり、平面的な絵としてではなく、空間を体験できるのが嬉しい。3階の会場の造りもあって、表書院と奥書院がはっきり分かれた展示になっているのもいい。
 
 サブタイトルに、-応挙・若冲・岸岱-とあるが、なんといっても応挙。
 
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 円山応挙 「遊虎図」(部分) 表書院 虎の間 
雄々しく勇壮でいながら、どこかユーモラスな虎たち。

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 円山応挙 「遊虎図 」(部分) 表書院 虎の間 
 水を飲む姿が、なんともカッコいい! 

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 伊藤若冲「花丸図」 奥書院 上段の間 
 溜息がでるくらい、ひとつ、ひとつ丁寧に書き込まれているし、花で部屋を埋め尽くすような発想にも感心する。けれど、その部屋に自分が通されて座っていることを想像すると、息苦しいというか、なんというか。この部屋に長居はしたくないと思うのだ。室内装飾としてはどうなの?

 逆に美術作品の評価としてはどうなんだろうと思わないでもないが、通されて落ち着くなら富士山の墨画、頓田丹陵「富士一の間」が好き。
  
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 円山応挙 「遊虎図 」(部分) 表書院 虎の間 

 でも、やっぱり応挙の「虎の間」が最高! というわけで、展示会場をもう1周して「遊虎図」。
 目を見開いた虎が迫ってくるようで怖くない? あの太い脚で捕まえられたら…。
 いえいえ、可愛いじゃないの? この後、金比羅宮、三重、フランスと巡回するそうだが、フランスの会場はギメ美術館。太田記念美術館で観た『ギメ美術館展』の北斎の「虎図」も、可愛気があったのを思い出した。虎は、日本人に愛されていたのだなあ。
 
 この展覧会、3階の他に、地下2階にも「信仰の世界」と題して、絵馬や船の模型などが展示されている。
 江戸時代、民間信仰として、お伊勢参りとともに盛んだった金比羅参り。四国で本州とは離れているのに、どうしてそんなに親しまれたんだろう、と興味は美術以外のところにも。だって、後世の、海とも、四国とも縁が薄い私でさえ歌を知っているんだから、そりゃあ相当なものだろう。

 
 ところで芸大大学美術館は、エレベーターホールと階段が向かいあわせの位置ということもあるが、1階のエレベータホールで年配のお客が多いと「階段がおつらい方はエレベーターをご利用ください」、若い人が溜まっていると「階段もご利用ください」と、臨機応変に誘導していた。そうそう、これがいいのよね。自分一人に「階段がおつらい方は~」って呼びかけられると、それはそれでガッカリする人もいるだろうけれど、こういう誘導なら気にならないし、親切。
 『パルマ展』(国立西洋美術館)で忘れ物をして送ってもらったので、お礼のメールに、お節介ながら例の階段を一段ずつ降りていた人のことを書き添え「階段の下り口に、エレベータの案内表示があれば」とお願いしてみた。その後どうなっているだろうと思って、帰りに西洋美術館に寄ってみたら、エレベーターの前に大きく「エレベーター」の表示が出ていて、前回よりもわかりやすくなっててnice!
 

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パルマ イタリア美術、もう一つの都

  国立西洋美術館『パルマ イタリア美術、もう一つの都』(8月26日まで)が、思いの外面白かった。

 16世紀から17世紀のイタリア、パルマの美術。パルマと言えば、会場でも売られていたが、チーズにハムにワイン。文学ですぐ思い浮かんできたのはスタンダールの『パルムの僧院』。読んだのは遙か昔のことで内容は忘れてしまったけれど…。

 この美術展、宗教画が多い。『パルムの僧院』が頭に浮かんだので「さすがパロマ(パルム)」と結びつけたいところだが、16世紀から17世紀といえば、ヨーロッパのどの地域でもキリスト教絵画が盛んなわけで。
 
 聖書のどういう場面を描いたものか主題解説をしてくれていたので、案外と親しみやすかった。

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 コレッジョの『階段の聖母』。優しい絵だが、聖母マリアに抱かれたキリストはどこを見ているのだろう。賢そうというかなんというか、キリストの目が厳しい。


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リオネッロ・スパーダ『音楽会』。この展示会の中では、珍しいテーマ。賑やかで楽しそうだが、貴族に雇われている楽士たちなんだろうな。


そして、パルトロメオ・スケドーニ『キリストの墓の前のマリアたち』

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光と陰のコントラスト、迫力ある大画面。展示されている部屋に入ったとたん、順路はまだまだなのにその存在感に驚いた作品。少し離れた距離から、しばらく全体を眺めていた。これを観ただけでも足を運んだ甲斐があった。

 
 ところで、西洋美術館の企画展展示室は、最初に地下1階に降りるようになっている。私が階段を降りて行ったら、一歩一歩手すりと杖に掴まって降りているお婆さんが。「エレべータがありますよ」と教えて差し上げたかったが、半分ぐらいまで降りていたので、また上がっていくのも大変だろうし、そういうときに声かけるのも善し悪し…。階段の下り口に、エレベータの案内表示があればいいなと思った。杖の人って、辛抱強いというか、我慢しちゃうんだよね。

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ストラディヴァリウス サミット・コンサート 2007 

  東京オペラシティコンサートホールで『ストラディヴァリウス サミット・コンサート 2007』を聴いた(5月22日)。

 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、と11台のストラディヴァリウスに、コントラバス、ハープシコードが加わったアンサンブル。

・ヴィヴァルディ/2つのチョロのための協奏曲 ト短調 
・J.S.バッハ/ハープシコードのための協奏曲 第5番 ヘ短調
・ハーバー/弦楽のためのアダージョ 作品11
・バルトーク/ルーマニア民族舞曲
・ヴォルフ/イタリア風セレナード ト長調
・ドヴォルジャーク/弦楽のためのセレナード ホ長調

 こういうプログラムに行きたくなるのは、根っからミーハーなのだ。「これがストラディヴァリウスですな」とは聴き分けられないが、深くて柔らで艶のある音。澄んだ華やかな高音から重厚な低音まで、うっとりしちゃう。奏者はほとんどがベルリンフィルのメンバーだ。

 オープニングの「2つのチェロのための協奏曲」で吸い寄せられる。端整なイメージがあるストラディヴァリウスで「ルーマニア民族」を聴くなんて、ね! 

 アンコールは、
・チャイコフスキー 弦楽セレナーデ から
・モーツアルト  ディヴェルティメント から
・ヴィヴァルディ  四季 「春」

 演奏だけでもサーヴィス精神旺盛なのに、曲紹介してくれたトーマス・ティム氏(ヴァイオリン)が日本語で笑わせて、和ませてくれるオマケ付。最近とみにフランクになっているが、クラシックに堅苦しいイメージはない。

 二階のバルコニー席だったが、下(ステージ)を観ると案外一階席の人の様子が目につく。行儀が悪い人はけっこう目立つから、人の振り見て我が振り直せだわ。
 階段を降りるときに、この東京オペラシティコンサートホールにはお客さんが利用できるエレベーターがあるのかなって、ちょっと思った。杖をついているお年寄りや白杖(はくじょう・目が不自由な人が持つ杖)を持っている人がいたから。もちろん元気な人は階段を利用すればいいが、こういう人のためにエレベーターの案内があるといいのに。
  

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国立新美術館(続)

 国立新美術館の1階ロビーにある巨大な円錐形(コーンと呼ばれているらしい)の中は、トイレとして利用されている。

 最新のトイレらしくユニバーサルデザインにも配慮しているのだが、惜しいのは洗面カウンター。
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 二つある洗面ボウルのうち、ブースに近いほうの洗面ボウルのまわりに、手すりがついている。これは、足の不自由な人が立っているときにバランスを保てるように配慮したもの。
 でも、そのすぐ横の壁に、手を乾かす温風乾燥機がついていて、その下にはゴミ箱が置いてあるのだ。


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 この位置関係だと、ゴミ箱が足が不自由な人の動線を阻むことになる上に、手を乾かしている人がいたら、手すり付きの方の洗面ボウルは使えない。洗面カウンターの手すりをつけるぐらいなら、なんのために付けるか考えて、当然この位置はおかしいと気づいてほしい。バランスが取れない人はもちろん、利用者誰もが不便でしょ? 

 繰り返しになるがこのトイレは円錐の中なので、若干スペースがとりにくい。だったらまず、この円柱のダストボックスは止めて、小さなゴミ箱をカウンターの上に乗せる。ペーパータオルを使わせないなら、こんなに大きいゴミ箱じゃなくても間に合うはず。
 それから、温風乾燥機もやめちゃえば? ホテルやデパートのような民間企業のサービスと違うんだし、エコが奨励されているんだから、各自ハンカチを使えばいい話で。

 もし現状のスペースで、絶対温風乾燥機が必要と考えるなら、設置場所はやはりソコしかなさそう。ならばこのトイレはイレギュラーということで、潔く洗面カウンターの手すりをつけないか。

 ちなみに隣にある多機能トイレの洗面カウンターも、やっぱりゴミ箱が邪魔。これでは、車いすの人がまっすぐ洗面カウンターに向き合えない。こちらも、なんのために多機能トイレに下部の空間が空いているる洗面カウンターを設置したのか、考えてみてほしい。070216_1012002_3

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