建築

国立新美術館(トイレ考)


 行くたびに気になって覗いてしまう、国立新美術館のコーンの中の多機能トイレ。

 お断りしておくと、今現在の私は、多機能トイレのニーズがあるわけではない。いわゆる「女子トイレ」でOKだ。でも、将来歳を取ったときにお世話になることもあるでしょう。車いすの知り合いが苦労しているのも見ている。
 まだ元気なオバアサンが、「トイレが使いにくいところには、行けないのよね」という。乳児連れのおかあさんたちの話も聞いた。別にネホリハホリ、こちらから聞き出すわけじゃないけれど、何かの拍子に話題にのぼる。
 遊びたいから、外出したいから、その施設のトイレも気になる。たぶん共感してくれる女性は多いんじゃないだろうか? その延長上に、多機能トイレがあるだけだ。

 さて、コーンの中の多機能トイレ。
 洗面台の下にゴミ箱が置いてあって、それじゃあ車いすの人が手を洗うときに不便だろうという話だった。
国立新美術館(続)
日展100年

じゃあ、これはどう?071012_14040002

 ベビーシートの向かいが入口だが、車いすは便器にむかって斜めに動くだろうから、ここなら車いすの移動にも邪魔にならない。
 洗面台の側に手ふきのペーパーが備えてあるわけではないから、洗面台の側にゴミ箱を置く必要は、あまりない。むしろ、ベビーシートの側のほうがおむつ替えに便利でしょう。ベビーシートを開くのにも、邪魔にならない位置だ。すごーく素直に考えた。これならいいかも。 

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ストラディヴァリウス サミット・コンサート 2007 

  東京オペラシティコンサートホールで『ストラディヴァリウス サミット・コンサート 2007』を聴いた(5月22日)。

 ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、と11台のストラディヴァリウスに、コントラバス、ハープシコードが加わったアンサンブル。

・ヴィヴァルディ/2つのチョロのための協奏曲 ト短調 
・J.S.バッハ/ハープシコードのための協奏曲 第5番 ヘ短調
・ハーバー/弦楽のためのアダージョ 作品11
・バルトーク/ルーマニア民族舞曲
・ヴォルフ/イタリア風セレナード ト長調
・ドヴォルジャーク/弦楽のためのセレナード ホ長調

 こういうプログラムに行きたくなるのは、根っからミーハーなのだ。「これがストラディヴァリウスですな」とは聴き分けられないが、深くて柔らで艶のある音。澄んだ華やかな高音から重厚な低音まで、うっとりしちゃう。奏者はほとんどがベルリンフィルのメンバーだ。

 オープニングの「2つのチェロのための協奏曲」で吸い寄せられる。端整なイメージがあるストラディヴァリウスで「ルーマニア民族」を聴くなんて、ね! 

 アンコールは、
・チャイコフスキー 弦楽セレナーデ から
・モーツアルト  ディヴェルティメント から
・ヴィヴァルディ  四季 「春」

 演奏だけでもサーヴィス精神旺盛なのに、曲紹介してくれたトーマス・ティム氏(ヴァイオリン)が日本語で笑わせて、和ませてくれるオマケ付。最近とみにフランクになっているが、クラシックに堅苦しいイメージはない。

 二階のバルコニー席だったが、下(ステージ)を観ると案外一階席の人の様子が目につく。行儀が悪い人はけっこう目立つから、人の振り見て我が振り直せだわ。
 階段を降りるときに、この東京オペラシティコンサートホールにはお客さんが利用できるエレベーターがあるのかなって、ちょっと思った。杖をついているお年寄りや白杖(はくじょう・目が不自由な人が持つ杖)を持っている人がいたから。もちろん元気な人は階段を利用すればいいが、こういう人のためにエレベーターの案内があるといいのに。
  

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サントリー美術館 開館記念展I「日本を祝う」

 3月下旬にオープンした東京ミッドタウンの中のサントリー美術館で、開館記念展I「日本を祝う」
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 私が知っているのは赤坂見附にあるサントリー美術館だが、元は1961年に丸の内にオープンした美術館。二度も移転しているのね。ミッドタウンに移って、展示スペースは赤坂の二倍だそうだ。 『日本を祝う』は、新しい館内のお披露目展。所蔵品の中から、お祝いにちなんだ約150点を、<祥>・<花>・<祭>・<宴>・<調>のテーマにわけて展示している。


  作品の中で一番見入ったのは、重要文化財の『南蛮屏風』、桃山時代の狩野山楽の作品と伝えられている。南蛮貿易の絵柄の二双の屏風で、南蛮船は”宝船”でめでたいのだとか。一双は日本に上陸する南蛮人たちで、もう一双はなぜか建物や人物から察するに中国の様子。当時の南蛮船の一行に「日本に来る前に中国に寄ってきたんですよ」とか「次は中国にいくんですよ」なんて聞いていたのか。日頃見慣れてはいないだろうに、南蛮の風俗がよくわかる豪快で緻密な作品。南蛮人のほうが日本人や中国人よりちゃんと鼻も高いのだよ。ポストカードがなくて、ここに絵柄を紹介できないのが残念。
 これまた図柄がないのだが、江戸の年中行事が描かれている『十二ケ月風俗図屏風』(榊原豊種)とか『阿国歌舞伎図屏風』も面白かった。美しい花鳥画もあるんだけど、昔の風俗がわかる屏風絵に興味を抱いた。

 この展覧会のもうひとつの主役は、美術館の館内。美術館は、東京ミッドタウンのガーデンサイドの3階から6階
の一画(展示室は3、4階)にあり、入口が3階。今回の展示は、4階にエレベータで上がって、3階に降りてくる順路になっている。その4階から3階に降りる階段と3階ロビーの空間の素敵なこと! 和テイストの落ち着いた空間だと聞いていたが、縦子格子の窓からはミッドタウンガーデンの緑も眺められ、鑑賞の間にちょっと一息つくのにとてもいい場所だ(国立新美術館の休憩室は味気ないよね)。階段が苦手な人はエレベーターでの移動も可能で、私が行ったときも杖をついたお年寄りがエレベーターで降りていた。エレベーターと動線の関係もよさそうだ。

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それから、展示室の照明は最先端の照明技術なのだとか。どういう技術なのかはわからないけれど、なるほど鑑賞しやすい。とくにそれを感じたのが、『江戸切り子 三つ組み盃・盃盆』などのガラス工芸品で、とても美しかった。思わず光りの方向を確認してしまうぐらい、柔らかだが鮮明に作品を引き立てていた。
 
 くまなく歩いたわけではないが、東京ミッドタウンも大勢の人で賑わっているわりには、広々とした印象で歩きやすい。今度はミッドタウンをじっくり見学しようか。敬遠しがちだった六本木だが、国立新美術館、サントリー美術館のオープンで、ときどき足を運びたい場所になった。

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MONET 大回顧展モネ

 国立新美術館の「大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産」に行ってきた(7月2日まで)。
東京ミッドタウンがオープンして間もないので混んでいるかと思ったら、そうでもない。すぐに入れた。

 モネの作品が97点(期間中掛け替える作品も含めて)、モネに影響を受けた作家たちの作品が26点。
 モネの作品を、
 第一章 近代生活
 第二章 印象
 第三章 構図 
 第四章 連作 
 第五章 睡蓮/庭
というテーマに分け、それぞれのテーマに関連した後世の作品も同じブロックに展示してある。一面モネ作品よりはアクセントになっているし、モネの影響を考える人にとっては面白いのだろうけれど、モネに集中したい私は途中からモネだけ見てまわる。


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「ヴェトゥイユの教会」。近くで観たときもよかったが、離れたところから偶然振り返ったときに、しっかりと目に飛び込んできた一枚。


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「サン=ラザール駅」。

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睡蓮もいいけど、「黄色いアイリス」も素敵。これは国立西洋美術館所蔵。この絵の隣に「藤」という大きな作品があって、しばしソファに座って鑑賞。藤棚を描いたようで、藤の花は白、背景が藤色の大胆な絵だった。

 残念ながら印象派の名の由来となったと言われる代表作「印象・日の出」はなかったが、この展示のボリュームは「光の画家でしょ!」「睡蓮でしょ!」といった説得力がある。ポプラ並木やルーアン大聖堂などの連作は、連作ならではの面白さがあり、世界あちこちに散らばってしまったのがもったいないと思った。

 驚くのは、展示されている作品の半数近くが、日本の美術館が所蔵している作品だということ。日本人ってモネが好きなんだな、とつくづく思う。モネが日本贔屓だから、よけいだろうか。

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国立新美術館(続)

 国立新美術館の1階ロビーにある巨大な円錐形(コーンと呼ばれているらしい)の中は、トイレとして利用されている。

 最新のトイレらしくユニバーサルデザインにも配慮しているのだが、惜しいのは洗面カウンター。
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 二つある洗面ボウルのうち、ブースに近いほうの洗面ボウルのまわりに、手すりがついている。これは、足の不自由な人が立っているときにバランスを保てるように配慮したもの。
 でも、そのすぐ横の壁に、手を乾かす温風乾燥機がついていて、その下にはゴミ箱が置いてあるのだ。


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 この位置関係だと、ゴミ箱が足が不自由な人の動線を阻むことになる上に、手を乾かしている人がいたら、手すり付きの方の洗面ボウルは使えない。洗面カウンターの手すりをつけるぐらいなら、なんのために付けるか考えて、当然この位置はおかしいと気づいてほしい。バランスが取れない人はもちろん、利用者誰もが不便でしょ? 

 繰り返しになるがこのトイレは円錐の中なので、若干スペースがとりにくい。だったらまず、この円柱のダストボックスは止めて、小さなゴミ箱をカウンターの上に乗せる。ペーパータオルを使わせないなら、こんなに大きいゴミ箱じゃなくても間に合うはず。
 それから、温風乾燥機もやめちゃえば? ホテルやデパートのような民間企業のサービスと違うんだし、エコが奨励されているんだから、各自ハンカチを使えばいい話で。

 もし現状のスペースで、絶対温風乾燥機が必要と考えるなら、設置場所はやはりソコしかなさそう。ならばこのトイレはイレギュラーということで、潔く洗面カウンターの手すりをつけないか。

 ちなみに隣にある多機能トイレの洗面カウンターも、やっぱりゴミ箱が邪魔。これでは、車いすの人がまっすぐ洗面カウンターに向き合えない。こちらも、なんのために多機能トイレに下部の空間が空いているる洗面カウンターを設置したのか、考えてみてほしい。070216_1012002_3

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国立新美術館

 国立新美術館の二階展示室で『異邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900 - 2005 ポンピドー・センター所蔵作品展』を観た後、同じく二階で開催されている『黒川紀章展』(3月19日まで)を観た。
 これが面白い。

 国立新美術館は黒川の設計だ。開館を記念して、黒川の代表作を、写真と模型と言葉で展示してある。副題に「機械の時代から生命の時代へ」とあるが、エコだのロハスだのと言われる今日的なコピーではないのだ。1959年に「機械の時代から生命の時代へ」と宣言しているのだという。50年近い歳月ではないか。
 建物というのは、普段一人の設計者の作品群としてまとめてみることができないし、利用するときには設計者の意図(思想)などほとんど意識しないが、こうやって集めることで、見えてくるのだなあと思った。ユーザーとしては俯瞰的に観ることができない建物を、模型によって俯瞰的に眺められるのも面白い。

 国立新美術館は大波のような外壁が特長だが、周囲の環境との調和という点では、敷地内に二・二六事件の司令部に使われた建物が残っていたので、それを保存し、調和することも、考えたそうだ。思わぬところで歴史の現場に出会った。
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 『黒川紀章展』を観た後で、正面から外観をあらためて眺めると、設計者の意図がなるほどと思える。
 また、その後1階展示室すべてを使っている企画展『20世紀美術探険-アーティストたちの三つの冒険物語』で、この美術館の大きさを実感した。よく歩かせられる。食事を挟んだとはいえ、前に2つの企画展を観ているから無理もないのだが、ロッカーに荷物を入れてほとんど手ぶらなのに、けっこう疲れて、ところどころで休憩。
 休憩室から外を眺めると、近隣のマンションがすぐ近くに見え、案外静かな場所だと気づいた。

 『20世紀美術探険-アーティストたちの三つの冒険物語』は、3月19日まで。
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 近現代の美術を、物質というテーマで捉えた企画で、500点以上もの展示だ。先に観た『異邦人(エトランジェ)たちのパリ 1900 - 2005』にもあったが、マン・レイの作品は、写真でも立体でも上品なエロスだとあらためて感心したりと、やはり私は現代より近代の作品に惹かれる。
 国立新美術館は、公募展のための30年来の構想だったと聞いたが、この展示を見ていると、なにより現代美術のための大きな空間がほしかったのだろうと思えてくる。

 いくつもの美術展が平行して開催されているので、終日美術三昧できる贅沢な空間。春に、近隣のサントリー美術館がオープンするのも楽しみだ。
 ただ、六本木という夜に賑わう立地なら、金曜日だけでなく、週にもう1日でも、たとえば水曜日も夜8時までにしてもらえたらいいのに。夜8時までの日は、朝11時からのオープンでも構わないから。
 
 あと、少々細かい意見を。
 B1のセルフサービス「カフェテリア カレ」は、メニューのわりに値段が高い。ファーストフードとコンビニを誘致したほうが、安くて美味しく、効率的だったのではないか?
 1階の円錐柱の中にある女子トイレのユニバーサルデザインには、ちょっと難がある。長くなるので、これはまた改めて別の場所で。
 


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