避けにくい歩きスマホ
先日エスカレーター「手すりにつかまろうキャンペーン」の話を書きましたが、今、駅や鉄道車内よく目にする(耳にする)のは、歩きながらのスマートフォンや携帯電話を禁止する呼びかけです。
携帯電話の通信会社も呼びかけているし、新聞やテレビニュースでも取り上げられていますので、もうご存知だと思います。 NHKとは、『あまちゃん』で青春時代の春子を演じた有村架純を起用してスポットを流していますね。(公共広告機構との共同キャンペーン )
今年の5月に、JR四ッ谷駅で小学生の男子が歩きながらケータイを操作していてホームに転落した事故から、本格的な啓発活動が行われるようになったようです。
これは、副都心線渋谷駅から田園都市線方向に繋がる地下道に貼ってあった、東急電鉄のポスター。
愛知工科大学 小塚一宏教授の実験では、歩きスマホでツイッターを操作しながら横断歩道を渡ったときの視野は、手ぶらで歩いたときと比較して、前方が1/5、左右は1/10未満に狭くなるそうです(日経新聞2013.09.17夕刊)。
また、スマホと携帯電話では、スマホのほうが視界がせまくなるとのこと。
(http://www.news-postseven.com/archives/20130620_195464.html)
50代半ばになった知人が、「最近人を避けて歩くことが下手になった。若いときは平気だったのに歳をとったのかな」と言っていました。
歳をとっただけが原因ではないはず。増えた歩きスマホは、急に速度が落ちたり、止まったり予測不能だがら、本人の視野が狭いだけでなく、周りも避けにくいのです。駅のホームや階段はもちろんのこと、道でも危ないと思うことがしばしば。
ところで、とある講演で、こんな話を聞きました。
--駅のホームでスマートフォンを見ていた人(A)と、白杖を使っていた視覚障害者(B)がぶつかり、Aのスマホが線路に落ちて壊れた。AはBにスマホを弁償してくれと要求した。--
講演者はそれ以上詳しくは触れず困ったものだという文脈だったのですが、単純に考えると、スマホを見ていたAと、白杖を使っていたBでは、 Aは注意を怠り、Bは注意していたということになります(白杖の機能は、1.歩行面(路面)の情報収集 2.障害物からの防御 3.存在を周囲に知らせる)。 Aはなにを思って、Bに弁償を要求したのでしょう。