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東京都のヘルプマーク

 都営交通で配布しているヘルプマークです。

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 2012年10月から都営地下鉄大江戸線で、配布され、優先席へのステッカー標示をしていました。今年7月から全ての都営地下鉄、都営バス、都電荒川線、日暮里・舎人ライナーで配布しています。鉄道の場合は駅の事務室でもらえます。とくに手続きはいりません。

 都営交通の広報が目にとまりますが、ヘルプマークは、東京都が<義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていることが外見からは分からない方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマーク>だそうです。つまり、ピクトグラム(サイン)としての「ヘルプマーク」の策定を東京都福祉保健局が行い、そのマークを使って、都営交通がヘルプマークのタグの配布をしているということになります。
マークの利用範囲は、交通機関に限らず広いんですね。

 都はこのマークを使用したヘルプカードの標準様式を2012年10月に定めました。都営交通の取り組みと同時進行ということになります。
 標準様式の策定は、市区町村単位でつくられていた同じような趣旨のカードを、共通のピクトグラム(マーク)を使うことで、行政枠を超えて支援を受けられるようにする目的がありました。
 ヘルプカードの発行は市区町村で行います。制定前の12年6月に都が調査したところ、独自にヘルプカードの取り組みをしていた市区町村は9区3市、社会福祉協議会や障害者団体で作成している地区は5区5市。同じようなといっても、目的も対象者もそれぞれ異なっていて、対象の障害を特化している自治体もあれば、全世帯の救急時を目的としているところもあります。そのためが、従来から実施していても、都の標準型ヘルプカードに移行していない自治体も多いようです。 
 お住まいの自治体では、ヘルプマークの入ったヘルプカードが導入されていますか?

  自治体の実情に沿うようにとしながら、都が「ヘルプカードのガイドライン」で想定している対象者は「障害者」のようで、へルプマークが本来意図した対象者とは微妙にずれています。
 都の、標準へルプカードの行政枠を超えた支援の取り組みを目指す試みには拍手! しかし障害種類、あるいは高齢者、難病の人、等々の支援ニーズがある人たちの”枠”を超えるのは、まだ難しそうです。

 
 ヘルプマークそのものは、そして都営交通の使い方は、障害名や病名に関わらず、支援ニーズを示すものです。
 都営交通は、手続きは必要とせず申し出た人に配布しています。それなら「外見からは分からない方々」というカテゴリーなど設けずに、支援が必要であると外見からわかるであろう人たちにも配って、ニーズがあることをアピールすればよいのではないでしょうか。なにしろ、杖をついていても優先席をゆずってもらった経験は数えるほどという声もあるのですから。「援助や配慮を必要としていることが外見から分からない方々」のためのという前提は「外見から判断できれば支援が受けやすい」ということになりますが、その前提には私は懐疑的です。
 
 ですが、ヘルプマークが障害名や病名に関わらず、支援ニーズを示すものであるなら、その普及は、生活機能に困難がある状態が「障害」、という国際的な障害概念が日本社会にも浸透するチャンスなのではないかと、淡い期待も抱いています。せっかくつくったのですから、上手く普及するといいのですが…。

 ヘルプマークは、周りの人たちの理解がなければ使えないマークです。支援を必要とすることを、知らない人に伝えることはリスクもあります。
 また、ヘルプカードの標準化で都内の自治体の枠を超えたように、東京都以外の都道府県でも共通に理解してもらえるマークであってほしいもの。 
 都営交通の実践も、JRでも他の民間鉄道でも利用できるようになったら。まずは、東京都が都営と一本化を狙う東京メトロあたりで……。


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