シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い 交差する夢と前衛
東京藝術大学大学美術館で行なわれている「シャガール ロシア・アヴァンギャルドとの出会い 交差する夢と前衛」を観た。(10月11日まで。福岡巡回)
詳細はこちらから。
9月なのに、まだ猛暑が続く東京。芸大は、界隈の美術館ではJR上野駅から一番遠い場所。上野公園をつっきって歩いて、キャンパスについたときには汗だく。友人と二人「お水、のみたーい!」。思わず美術館のお兄さんに「自販機ありませんか?」と聞いたら、学食を教えてくれた。そこでペットボトルのお茶を飲みつつ、しばし涼む。
照返しが来る炎天下のキャンパスで学生達が思い思いに作品を創作していた。4日、5日が「藝祭」で、その準備らしい。
シャガールである。
シャガールのイメージといったら、幻想的、奥さんをこよなく愛した「愛の画家」。色彩が綺麗。ナチスからの亡命、波乱の人生。大きな展覧会の中で、ヨーロッパの画家たちに交じって何枚か観ている分にはこんなところで、それ以上傾倒することもなかった。
今回は、「シャガールが夢見た展覧会 代表作を祖国ロシアの芸術家たちと一堂に」とあるように、ロシア出身のユダヤ人という出自がはっきりとわかる。まさに「屋根の上のバイオリン弾き」の世界だ。いや、ミュージカルの『屋根の上のバイオリン弾き』はシャガールの絵にちなんで名付けられたもので、もともとは、皇帝ネロの迫害に屈しなかったユダヤ人の故事なのだそうだ。人間の根っこ、アイデンティティについて考えさせられる。
1964年に、手がけたパリオペラ座のこけらおとし『魔笛』の舞台芸術のスケッチ画も展示してあり、おもしろかった。この人、絵画だけじゃなかったんだなあ。中央のソファに腰掛けると、天井のスピーカーから流れている魔笛の音楽を聴ける仕掛けも素敵! ピンポイントなので絵画の鑑賞の邪魔にはならない。
ポンピドー・センターのコレクションから70点が展示され、「シャガール:ロシアとロバとそのたのものに」という映画も観たので、たっぷり2時間余。
ポンピドー・センターにあわせた寒いぐらいの館内を出ると、木陰も暑い夏の昼下がりだった。
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