W ダブル
久しぶりに、いい男と、いい女の芝居を観た。
『W ダブル』 (作 ロベール・トマ/ 演出・上演台本 G2/ 於 ル テアトル銀座 29日まで。名古屋、大阪公演あり)
パリ郊外の大きな屋敷が舞台。放蕩者のリシャール(橋本さとし)と結婚してしまった資産家のフランソワーズ(中越典子)。リシャールの危険な魅力に惑わされ、また暴力にも怯えながらも、彼がつくる借金の返済にうんざりしている。家政婦のルイーズ(堀内敬子)の恋人は、リシャールと瓜二つの弟ミシェル(橋本の二役)。リシャールが留守の間、この弟を替え玉にして離婚しようと計画を立てるフランソワーズ。支配的なリシャールに怯えるルイーズとミシェルも計画に乗るが……。
サスペンスである。最後のどんでん返しのお楽しみのために、ここからは書かないが、なかなか良くできた結末で、面白かった。だまし、だまされ、誤算が誤算を生む、というか、なんと言おうか。
堀内敬子が出ているのを知って、2週間前ぐらいにチケットをとった。橋本さとし、中越典子、それから弁護士役の山西惇と、他の役者も素敵だし、G2だし。
見終わって、その期待を裏切らなかった役者陣。いや期待以上。とくに、橋本さとしの色気にはほれぼれする。ワルのリシャールと、冴えないミシェルの二役の演じ分けもいいし、やっぱりナレーションより舞台でしょう、この人は。
中越典子も、か弱そうな美しさから、凛とした表情まで、いい女っぷりを見せてくれる。
堀内敬子は、サスペンスでもキュート。山西惇もなかなか渋い。
なかなかお目にかかれない大人の小粋な芝居に満足。