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富士見町アパートメント

  座・高円寺1で、自転車キンクリートSTORE「富士見町アパートメント」を観た。

 ”古いアパートの2DKの部屋”という同じ舞台装置で、4人の作家の新作を、鈴木裕実が演出する。”富士見町アパート”ではなく、”富士見町アパートメント”というのがミソ。古いが2DKなのもミソ。ボロアパートにも、繁華街の外れ(?)のレトロなアパートメントにもなっていた。
 
 Aプログラム「魔女の夜」 蓬莱竜太/「海へ」 赤堀雅秋
 Bプログラム「リバウンド」 鄭義信/「ポン助先生」 マキノノゾミ
 Aはどちらかとえばサスペンス、Bはウェルメイド。1作品1時間程度の長さだ。
 
 「魔女の夜」は女二人の心理戦。時間の経過を見せる工夫がされている。展開が読めてしまうので、部屋の設定を書くのはよそう。
 「海へ」は、あるダメ男の通夜の晩、死んだ男の部屋で。ダラダラと続く馬鹿話が、なぜか胸にジーンと来る。結末もいいな。男優たちが、井之上隆志、入江雅人、清水宏、久保酎吉と、80年代の小劇場ブームを経験した私には魅力的な面々。4本の中で一番煮え切らない設定でもあり、、一番考えさせられた脚本でもある。
 「リバウンド」はふくよかなコーラスガールの話。20年来派手なヒットはないものの地道に活動してきた三人組だが、一人の家庭の事情で、もう一緒に歌えなくなる。引っ越しの荷造りをしている、その部屋が舞台だ。しんみりとさせる話なのだが、池谷のぶえ、平田敦子、星野園美の明るさというか、存在感が功を奏している。会話も部屋もリアル。イブとかアマゾンズとか、実際に活躍している女性三人組のコーラスグループの名前も出てきた。三人のコーラスも、なかなか楽しい。

 そして「ポン助先生」。新人人気漫画家、杉森ハジメの自宅兼仕事部屋が舞台。ポン助先生は、大御所だが最近筆が鈍っている漫画家。女性の担当編集者(西尾まり)とポン助先生に鍛えられる若者の成長物語で、演じる黄川田将也がとってもいい。が、なんといってもポン助先生の山路和弘でしょう。生き生きと自由自在にセクシーに、自尊心が強くかなり迷惑な中年男を演じている。
 このポン助先生、若い芽を摘むのではなく、かなり遠回りなやり方だが、後輩に伝えていくということを心得ている。結果としてそうなった、とも読めるが、後輩を育てたいという気持ちが多少なりともなければ、こうはならないでしょう。それに、ときとして反面教師のバカな大人がいることも、若者にとってはいいことなんだし。正面から与えられたものしかわからない人間では困るのだ。今の時代にありそうで欠けている大事な人間関係かもしれない。山路のポン助先生は、魅力的だ。

 私は、Bプログラムから観たのだが、A、Bの順で観るのが正解だったと思う。好みの問題だろうが、Bプログラムのほうが素直に楽しめた。

 余談ながら、はじめてジテキンの芝居(つまり鈴木裕美の演出)を観たのは、1988年の「ほどける呼吸」。細かいことはすっかり忘れてしまったのだが(でも可愛いセーラー服姿はよく覚えている)、ほとんど同じストーリーながら、3ヴァージョンあったと思い出した。
 今回の企画も、ある意味でヴァージョン違いかも。同じセットでも、こんなに違う物語が生まれるのは面白かった。家具や小道具も散らかり具合も、まったく違う。
 けれど、そこから切り離して独立させて見せても十分見応えのある作品が揃った。ただ、1本だけこの企画でしかなりたたないだろうと思う話があるけれど……。


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