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中西俊博コンサート Leapingbow 2010

 青山円形劇場で行われた「中西俊博コンサート Leapingbow 2010」。今年は、Reel's Trip と銘打っているが、おなじみの曲も多い。
 私はてっきり中西さんはアイリッシュ系の音楽が好きなんだと思っていたら、なんと「アイリッシュはあんまり好きじゃなかった」という発言が飛び出して、超ビックリ。そうだったのか! 「若いときは」がついていたのを聞き逃がしたのか、よくわからないが、アイリッシュをいま風のサウンドにアレンジするのは好きらしい。衝撃の告白だったが、一部の終わりはAmericanWakeで盛り上がり、二部のRiverdanceでも盛り上がった。やっぱりアイリッシュ、好きだよね。

 円形劇場はまんなかがホントに円形ステージになるステキな劇場で、劇場『ア・ラ・カルト』で慣れているせいか、円形でやるならやっぱり丸く使ってほしいと思う。額縁舞台のレイアウトもできるけど、それじゃあちと物足りない。出演者にとっては(特に演劇の場合は)制約が多いし、後ろ姿が丸見えだから、たぶん難しいステージだと思うのだけど(そういえば『ア・ラ・カルト』も10年目までは額縁でしたね)、客席との距離が近いし、出演者の後ろ姿が見えるのも、また意外な一面が見えて面白いのだ。

 その円形ステージの周りを囲むように、木村将志(ベース)、ファルコン(ギター)、伊賀拓郎(ピアノ&キーボード)、中西俊博(ヴァイオリン)、そして紅一点のはたけやま裕(パーカッション)のポジションがあり、私の座席はちょうと、中西さんと裕ちゃんがよく見える席で、オープニング、中西さんが向かいの扉から現れたときには、私のために弾いてくれているのかと錯覚できるほど、幸せな席だった(その後もたびたび錯覚に陥った)。

 中西さんに近いのも幸せなら、裕ちゃんの背後でパーカッションの操り方(?)を観られたのも幸せ。パーカッションは、四角いステージだといつも後ろの方に陣取っているから、ここぞとばかりに見入ってしまった。そして二部の冒頭、中西さん相手にインドの楽曲Lukiを演奏し、ステージを回る裕ちゃんの姿は、ダンサーみたいに綺麗だった。裸足の足も綺麗だし、手指も綺麗。自分のポジションでも、まさに四肢を駆使して楽器をたたいていて、これじゃあ靴なんてまどろっこしくて履けないだろう。二部で披露した、裕ちゃん作曲の「1928」は、美しいが重くるしさを感じる曲で、「第二次世界大戦へと向かう時代の狂気」を表現したと言っていた。そうだね、翌年の1929年は世界大恐慌で、そして第二次世界大戦と向かっていくのだ。

 はたけやま裕とファルコンははじめて聴くアーティストだったが、また聴いてみたい。しかし、ファルコンってハヤブサでしょう? そういえばファルコンのイメージはクールな感じだったが、なぜにファルコン? 中西さんのライブにいくと、上手い若手をいっぱい知って、また彼らのライブにも通いたくなる。ベースの木村クン(まーくん?)とピアノの伊賀クンは、中西さんとのトリオでも聴いていて、好き。
 編成が変わると、同じ曲もどんどんと表情を変えていく。当たり前のようだが、このライヴはあんまり聴けない音だったと思う。

 木村クンと伊賀クンがフォトンというバンドのメンバーで、そのバンドに真部裕クンが入るのだと情宣していたが、客席にその真部クンがいた。帰りがけに彼の側を通ったので軽く会釈したら、ちゃんと返してくれた。中西さんとのライブでも好青年だわって思ったけど、やっぱり好青年だった。直近のフォトンのライヴは日にちがあわなくて残念だけど、木村くんと伊賀くんと真部クンがいるなら、絶対応援しちゃうよ。だって、ホントに上手いんだもん。

 こうして今年のライヴ通いが、贅沢にはじまったのだった。

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