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災害時の支援(筆談)

 災害時に、弱者をどのように支援するか、という話。

 耳が聞こえない人の支援について「難聴の人は補聴器をつけて逃げられないこともあるので、筆談をしてください」と行政の人が言ったときに「耳が不自由な人は外見から判断できないから、誰がそうなのかわかるように、バッチをつけてほしい」という声が、災害支援ボランティアの人たちからあったそうだ。

「そういう問題なのかな?」と、その場に居合わせた人が言う。

 そういう問題じゃないだろう、と私も思う。 
 善意の提案なのだろうし、バッチをつければそれなりの効果があるかもしれないが……。

 たぶんボランティアさんたちは、妊婦さんのマタニティマークから連想したのではないだろうか。
 厚生労働省は首都圏の鉄道各社と協力して 「おなかに赤ちゃんがいます」というマタニティマークを配布している。妊娠初期は不安定な時期でお母さんも身体が辛いのに、外見からはわからない。電車に乗ったときに、具合が悪くても席を譲ってもらえないことからはじまったようだが、職場や飲食店などの環境づくりにも広がっているそうだ。ただし、マタニティマークをつけることは勇気が要る、という人もいる。
 
 災害時に、マタニティーマークや”難聴バッチ”を持って逃げられるとは限らない。その災害にあったことで、爆音にさらされたり、精神的なショックで難聴になったり、声が出なくなる人もいるかもしれない。それに、外見からわかりにくい障碍、コミュニケーションをとりにくい障碍も、難聴だけではない。けっきょく自分でアクションを起こせるか否かが鍵だろう。もし難聴バッチを配ったとして、”難聴バッチ”というマークを自分でつけられる人は、自分でアクションを起こせる人なのだと思う。

 問題は、アクションを起こせない人だ。避難経路で、避難所と違う方向に歩いている人を見たら声を掛ける、言葉が伝わらなかったら筆談をする。避難場所で、炊き出しなどのアナウンスがあったときに、一人ぽつんと座っている人がいたら、声を掛ける。声をかけた相手が声を出せなかったら、筆談をする。混乱期には、そうやってケアしていくしかないのではないか? 避難所に行く途中では、筆談をしている余裕さえないかもしれない。

 マークに頼ってしまっては、本当に必要な人への支援がこぼれ落ちてしまう。マークではなく、その人の行動で、支援が必要かどうか読み取ってほしい(それにお年寄りの多くは難聴と思っていたほうがいい)。
 また、善意から出た提案だろうが、マークをつけることは、障碍者にとっては差別の目にさらされるリスクを伴う、ということも、支援する人たちは考えてほしい。

 避難訓練をしてさまざまな検証をし、いざというときのために備えることは有意義だ。だが、あまりにシステマティックに手順を構築しマニュアル化すると、逆に、臨機応変に動けなくなる危険があるということも考えなくてはならない。私はマークに反対だ。

 この話を聞いた日、自分の非常持出袋にメモ帳とボールペンを入れた。誰かを助けるためだけではなく、自分自身が声が出なくなったり、耳が聞こえなくなることもあるだろう。筆記用具を持っていれば、周りの誰かとコミュニケーションがとれる。非常用持出袋を持ち出せるとは限らないし、そんな余裕があるかわからないが、まずはそこからだと思う。 
 行政も、推奨する非常用持出袋の中身に筆記用具を加え、そういう広報をおりにふれて一般市民にも行えば、支援ボランティアの登録をしていない市民にも「筆談が必要な人がいる(自分もなる可能性がある)」ことが徐々に周知され、セイフティネットが広がるのではないだろうか? 


<追記>
 後日またこの話題になったら、「”マーク”をつけるかどうかは、古くから出ている問題」なのだそうだ。そんなにマークをつけたいのなら支援者が腕章なり、バッチをつければよろしいのでは。「手話 ]とか「筆談」とか。そうすればニーズがあって、自分でアクションを起こせる人は、その”マーク”をつけた人を探せるでしょう? デパートでも「手話ができます」というバッチをつけた店員さんがいるが、その要領である。 それから、少なくとも”誰か”(アクションを起こせない人も含めて)を支援する意志のある人は、筆記用具を携帯すること。
 長年福祉をやっている人たちが、そういう発想がないのはどういうわけなんだろう?

 

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