パイパー
1月、2月に観た、NODA MAP『パイパー』のことをメモ書きに(少々ネタバレ)。
移住から1000年後の、ほろびゆく火星の世界。地球からもたらされる人工食糧を主食とする火星移住者の、食糧難。幸せを数値で計ってきた文明社会。馬鹿馬鹿しいが、統治者たちは真剣な、権力争い。新しい土地を求めて金星に移り住む者が大多数の中で、荒廃した火星に残り、懸命に生き延びようとする一組の家族。そして、都合のいいことしか見せない”歴史”。
身につまされるストーリーだ。
役者では主役の松たか子と宮沢りえに、唸る。妹の松と姉の宮沢が、母(松)と四歳の子供(宮沢)に入れかわる瞬間。瓦礫の中を、しっかりと手をつなぎながら歩いていく母と子のシーンは絶品だ。なにもない舞台なのだが二人の台詞だけで、荒れた町が見えてくる。たぶん落語の手法なんじゃないかと思うのだが、これは、作った野田も、演じた役者も素晴らしい。きっと語り継がれる名シーンだ。
群舞やパイパーの動きも美しい。ラフマニノフやベートーベンなど音楽の使い方も巧い。
ラスト、希望の花が咲き、これでちょっと救われる。
今年のはじめから、今年最高の芝居に出会ってしまったかも。
« 原研哉デザイン展 本 友人、原田宗典がモノ書きだったおかげで。 | トップページ | さよならシアタートップス 最後の文化祭 東京サンシャインボーイズ『returns』 »
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 武蔵野市民文化会館改修案について(パブリックコメント)(2014.08.05)
- 映画『風立ちぬ』(2013.10.08)
- 本屋図鑑(夏葉社)(2013.09.03)
- 軽井沢からの手紙(2011.04.22)
- 追悼の呼びかけ(2011.04.06)
« 原研哉デザイン展 本 友人、原田宗典がモノ書きだったおかげで。 | トップページ | さよならシアタートップス 最後の文化祭 東京サンシャインボーイズ『returns』 »