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2009年1月

加山又造展

 国立新美術館の『加山又造展』を観た(3月2日まで)。
 素晴らしい回顧展。山種美術館などで観た加山の作品が好きだったのだが、体系的に観るのははじめて。こんな人だったのかと、ワクワクを通り越してゾクゾクしてしまう。

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 チケットに使われた絵は、「雪」。雪、月、花、と一組になっている大作で、入場するとまずエントランスのこの作品に溜息が出る。

 次に続く動物の作品群にはびっくり。--ラスコーの壁画から、未来派、シュールレアリスム、そしてブリューゲルまで幅広く西洋美術から影響を受けています。--という解説なのだが、きっと、これらの加山の作品に影響を受けた西洋風?現代アートの人だちだって多いにちがいない。コレ観ちゃうと、日本画とか西洋画というようなカテゴリー分けなんていらないんじゃないかと、素人の私は思う。
 この中で写実的な「木枯」の風景にデジャヴ。冬の夕暮れどきに井の頭公園付近で空を見上げると、鳥が寝ぐらに帰っていく、こんな風景を見かけるのだ。だぶんこれは上野公園なんだろうけれど。

 屏風絵が6作品、どどーんと並んでいる中で、”琳派の影響”を浴びる。その中でも「千羽鶴」が好き。
 こんな裸婦も描いていたのかと思いながら進んで、釘付けになったのは「夜桜」(光記念館所蔵)。リンク先のページで見てほしいのだけれど、残念ながら部分だけなので、ぜひとも本物を観てください。咲き誇る桜の美しいこと。そして右隻にかかり火があり、立ち上る煙がなんともいえず、作品全体が繊細で優美。立ち止まって観ても足りず、しばらく前のソファーに座ってうっとりと眺めた。
 波の音だけが聞こえてきそうな、水墨画の「月光波濤」にも魅了された。波の迫力がすごい。作品の前を離れて歩いていても、ふっと視野に飛び込んでくる感じがするのだ。

 順路の途中、休憩室ではパソコンを使った習作を展示していた。晩年になっても、創作意欲とともに、素材への探求心が旺盛だったのだなぁ。すごいなあ。好奇心旺盛な人だから、日用品のデザインも手掛けたのだろう。”琳派”だし。
 
 出口まで行って、もう一度「夜桜」と「月光波濤」を観に戻った。会期がはじまったばかりの平日の夕方だったから、混み合っておらず、行きつ戻りつを繰り返しても、他の人の邪魔にならなくて良かった。
 目録を買おうか迷ったが、次に行く用事があったので、コンパクトなDVD を買った。余韻に浸ろう。

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 作品は「春秋波濤」(部分)

東フィル ニューイヤーコンサート 2009

 今年のイベント始め(?)も、東京フィルハーモニー交響楽団の、ニューイヤーコンサート 2009(1月2日 オーチャードホール)。

 指揮は小林研一郎。ゲストに、ピアノの外山啓介と、ヴァイオリンの宮本笑里。美男美女で大人気の若手だ。そして、ナビゲーターといっている司会の朝岡聡。

第1部
J.シュトラウスⅡ 春の声
ブラームス  ハンガリー舞曲集 第1番
ブラームス  ハンガリー舞曲集 第5番
ラフマニノフ  ピアノ協奏曲第2番 第1楽章
スメタナ 「わが祖国」より“モルダウ”

第2部
J.シュトラウスⅡ  雷鳴と電光
モンティ  チャールダーシュ
ラフマニノフ  ヴォカリーズ
ラヴェル  ボレロ

 毎年姉と一緒に行くのだが、私たちの前の列に50代後半ぐらいの男性と20代後半ぐらいの娘さんが座っていたのだが、娘さんの手にお母さん(男性にとっては妻)と思われる人を飾った写真立てが握られていて、きっと毎年ニューイヤーコンサートに来ていたご家族なんだろうなあ、と想う。 
 うちも母が健在だったら一緒に来ていただろう。姉と私がクラシックに慣れ親しんだのは、母がクラシック好きだったから。私が小学校に入学するまで我が家は社宅のアパート住まいだったが、幼い頃にそのアパートで、母がレコードをかけると喜んで一緒に聞いたものだ。姉も私も「ハンガリー舞曲集」にあわせて踊る(くるくる回る)のが好きだった。

 今年の第1部は、そのハンガリー舞曲だから、私としては大いに盛り上がる。ラフマニノフのピアノ協奏曲を弾いた外山の手の大きさにもビックリだった。第2部の、チャールダーシュとヴォカリーズは宮本笑里。宮本のチャールダーシュは線が細い。年末の、同じ東フィルのジルベスターコンサート(テレビ中継)で古澤巌のチャールダーシュを聴いたばかりだから(おまけに日頃聴いているCDが古澤巌なもので)、この選曲は若い彼女にとってちょっと不利だったかも。
 
 演目もお馴染みの曲ばかりで、定期演奏会より”お楽しみ”の色が濃い。休憩時間に獅子舞が来たり、お年玉抽選会があったりと、お正月らしい演出もたっぷりある。ボレロの緊張がとけると抽選会があって、その最高の景品が「ラデツキー行進曲の指揮をする」という趣向。今年も当たらず、「せっかく練習していたのに」と姉は残念がっていたが、楽しいコンサートでお正月を祝った。 
   
 

「あれから」他、08年後半の芝居から

昨年、感想を書き残した芝居から、メモしておきたいものを。

 ガバメント・オブ・ドッグスは大阪出身の人たちのようで、10月三鷹市芸術文化センター 星のホールで行われた「Refresh!」が東京初上陸だそうな。初見だから、11年ぶりの活動再開と言われてもピンと来ないが、安定したコントライヴ。若い人、と言っても私より若いだけで、オッサン5人組である。メンバーに土田英生がいる。

 若い人と言えば、本谷有希子の「幸せ最高ありがとうマジで!」が強烈な印象だった。新聞販売所を営む家族のところへ、ある日見知らぬ女性、明里がやってきて主人の愛人だと名乗る。そこから明里の”復讐”がはじまるはずだったのだが…。そら恐ろしいストーリーだ。役者では、主人公明里役の永作博美もいいが、妻の広岡由里子がなんたっていい。本谷有希子の作品は、以前ダンダンブエノで見たことがあった。

 「友達」の演出、岡田利規は、はじめてだった。脚本が安部公房、役者も麿赤兒、若松武史、木野花、今井朋彦等々が揃っているので、岡田の色とは違うのかもしれないが…。
 結婚が決まったひとり暮らしの男のアパートにある晩、見知らぬ家族がやってきて住み着く。「幸せ最高ありがとうマジで!」と似たような暴力。もっとも本谷より安部の脚本のほうがずっと昔なわけだが、いつの世も社会にこういう不気味さが潜んでいるということだろう。今は目に見えてきた時期なのかも。
 
 土田、本谷、岡田とも、もうすでに評価されている人たち。これからも観てみたい。

 そしてなんといっても同世代の人たち。クリスマスに、三谷幸喜の「グッドナイト スリープタイト」を観た。一組の夫婦の約30年の歴史。戸田恵子と中井貴一だから安心して楽しめた。
 2008年、最後の観劇はKERA・MAPの「あれから」。高校のときの親友、ニチカ(余貴美子)とミラ(高橋ひとみ)が30年の時を経て、偶然出会う。それぞれに家庭の事情が複雑だったり、いろいろあるが、KERAにしてはハッピーエンドで、ほんわかした気分。余、高橋ひとみはもちろん、ニチカの夫役の渡辺いっけい、ミラの夫役の高橋克実もいい。高橋克実はちょっとだらしがない中年のカメラマンで、カッコいいのだ。それと、ナイロン100℃の植木夏十が、屈折した、でもホントは素直な女の子を好演。15周年記念の「シャープさん フラットさん」でも、家庭環境が複雑な女の子だったっけ。

 「あれから」を観て、自分の「あれから」もふり返える。「ア・ラ・カルト」のときもそうだったが、ふり返る過去があるということは、歳を取ってきたっていうことなんだろう。年があけて、シアタートップスの最終公演に、東京サンシャインボーイズが集まるという話を聞いた。トップスも、東京サンシャインボーイズも想い出がたくさんあるのだ。チケット争奪戦だろうなぁ。

 ここに感想を書いた他にも、昨年はたくさん芝居をみた。今年もたくさんの芝居に出会えますように。

ア・ラ・カルト 役者と音楽家のいるレストラン(2008年)

 昨年、感想を書き残した芝居から。

 11月某日。「ア・ラ・カルト」を観る。
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 20周年ということで、ステージ数が多いにも関わらずチケットを取るのに苦戦し、11月になった。ホントは12月のクリスマス時期がベストなんだけれど、贅沢は言ってられない。
 初演から観ているが、たしか3回観られなかった年がある。チケットが取れなかったり、病気だったり…。そういうことも含めて、20年の歳月を自分のこととも重ねあわせるとなおさら感慨深いのだが、高泉淳子、白井晃、陰山泰の三人の役者と音楽監督の中西俊博が、誰一人欠くことなくおなじ劇場で20周年を迎えたことが、ファンとしてとっても嬉しい。役者はもともとおなじ劇団のメンバーだったが、よく中西と出会ったものだと感心するし、それが20年続くのだから!
 それになんていったって、このエンターテインメントの質の高さ! 毎年同じように思える「ラストダンス」だが、高泉扮するおばあさんだけでなく、白井のおじいさんも年寄りの表情が深くなってきた。二人を見送る陰山のギャルソンが燻らすタバコ。わかっているのに、涙がこぼれる。でも、それは悲しい場面じゃなくて、人生賛歌だ。死を予感させる老いを見つめてなお、幸福感に溢れている…、これが「ア・ラ・カルト」の大きな魅力(高泉の魅力でもある)。
 おなじ劇場で、と書いたが、青山円形劇場という劇場も、一役買っている。こういう小粋な舞台は絶対大きな劇場ではつくれない。いつからかステージを本当に円形に使うようになって、より客席との距離が縮まった。青山という土地柄も、レストランという設定にあっている。
 
 08年の食前(オープニング)のカクテルはウイスキーフロート。白井のオーナーの台詞に「軽井沢の醸造所」が出てきて、「今年、私も行った!」と小さな符合にウキウキする。ちなみに食後のカクテル(ラスト)はアイリッシュコーヒーで、ウイスキーベースで統一されていた。こういうところまで、ちきんと作り込んでいるのがオシャレ。
 08年は羽場裕一とROLLYがゲスト。羽場はすっかり「ア・ラ・カルト」に溶け込んでいた。よくを言えば、ROLLYにもう一曲歌って欲しかったけれど、この人はまたいつか出てくる気がする。
 
 座席がAブロックだったので、ステージの真正面。11月だったけれど、20周年にいい席で観られたなんて、なにかのご褒美かも。

写真は、オープニングで使われた20周年記念の花。違う日に行った友達がもらったものを写させてもらった。

2008展覧会 私的回顧 

 年末に行ったバーで、オーナーに「最近絵は観てます?」と訊かれて、「そうそう今年(08年)の前半は随分美術館を巡ったんだわ」と思った。10月頃から忙しくなり12月は風邪を引いて、美術展のベストシーズンだというのになかなか行けず、アレもコレも見逃している。

 たとえば『巨匠ピカソ展』。サントリー美術館の「巨匠ピカソ 魂のポートレート」展は観たが、国立新美術館の「巨匠ピカソ 愛と創造の軌跡」展は見逃したので、なんだか消化不良だ。パリのピカソ美術館が改装中の世界巡回展だったというから惜しいことをした。2館にわけずに国立新美術館一か所でやってくれれば、親切だったのに。1月中旬で終わってしまうフジタにも行けるかなぁ。

 2008年一番感動した展覧会は、東京国立博物館『国宝 薬師寺展』。あの月光さん、日光さんの優美なお姿は忘れられない。二番目は『大琳派展』。これは琳派、とくに宗達が好きだから。宗達といえば『対決 巨匠たちの日本美術』も見応えがあったし、『王朝の恋 描かれた伊勢物語』も面白かった。「物語」繋がりなら、千年紀にちなんで五島美術館の『源氏物語絵巻』も挙げたい。
 小さな展覧会だったが、三鷹市美術ギャラリーの『中右コレクション 幕末浮世絵展 大江戸の賑わい──北斎、広重、国貞、国芳らの世界』も印象に残っている。これを観たあとで『ひらがな日本美術史 6』を読んだら「なるほど!」とか「へえ、そうなのか」と思うことが多く、いままで自分の中でバラバラだった一つひとつの作品の知識が、浮世絵同士あるいは他の美術と、はたまた江戸の歴史に少しづつ繋がっていくような気がした。作品そのものも面白いけれど、こういうことも楽しいんだよね。 
 ちなみに、私の日本美術のお師匠さんは(勝手ながら)橋本治と赤瀬川源平だから体系だって、というわけでもない。あんまり知識先行型の鑑賞も好きじゃないし。

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 海外のものでは、『フェルメール展』の帰りに寄った『ヴィルヘルム・ハンマースホイ  静かなる詩情』が強く印象に残っている。決して華やかではない、落ち着いているようでいて、ちょっと奇妙な画風。ハンマースホイはデンマークの人だから、北欧っぽいといえば、北欧っぽいのかもしれない。初めて観た感動も加わっているのだけれど、ロイヤルコペンハーゲンの食器を見るたびにチケットに使われていた「背を向けた若い女性のいる室内」を思い出す。

 それから番外編で『フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの小書斎 ・ストゥディオーロ』もルネサンスを体感できた貴重な展示だった。実際に小書斎の中に入れるなんて、これはなかなか味わえるものではない。
 この『フェデリーコ・ダ・モンテフェルトロの小書斎 ・ストゥディオーロ』と『国宝 薬師寺展』は、ある意味サプライズだったので、他の展覧会とは別格なのだ。


 

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